麻布十番道場で稽古している36歳のイムラン・スィディキさんは、父親がパキスタン人、母親が日本人のハーフ。日本で生まれ日本で育ったが、インターナショナルスクールに通っていたので英語に精通しており、現在、都内の麻布十番でコペル英会話教室を開校している。
「うちでダメなら英語は諦めて下さい」をキャッチフレーズに掲げている同校は、丁寧で理論的な授業が好評で、生徒は大人と子供を合わせて300名近くに上る。
英会話を苦手にしている日本人が多い現状について、「英語を話すことを恥ずかしがって、試さない人が多いように思います。中学・高校の6年間、英語を習っているため、話せないことにコンプレックスがあるのかもしれません。
試す前に完璧を目指して習得しようとする傾向がありますので、そこが壁になっているように思います。学校で英語を習った土台はありますので、誰でも上達できる可能性があるはずです」とイムランさんは語る。習って、試す、そして上達していく過程は、空手と通じるものがあるのかもしれない。
イムランさんが2011年11月から麻布十番道場に通うようになったキッカケは、愛息のユースフ君(5歳)がすでに入門していたことや、「いつも教える立場なので、教わる立場の気持ちを知る上で興味があった」からだと言う。
実際、東京ベイ港支部の小井師範の指導法は勉強になるようで、「下突きのイメージをボウリングの球を投げるようにと言われていて、とても参考になりました」と証言する。教える立場と教わる立場。どちらの心理もわかれば、上達させるための大きな武器となるのだろう。
空手との出会いは、イムランさんが中学生の時まで遡る。父親の友人に勧められて、フルコンタクト空手を習い始めたことがファーストコンタクトだった。だが稽古内容が厳しく、また自宅がある都内の白金高輪から神奈川県の川崎までの遠距離を通っていたこともあり、次第に足が遠のいていった。
やがて自宅近くの伝統派空手の道場へ通うようになるが、長続きはしなかった。そうして空手への思いが薄れていく中、何十年かの月日が流れ、奇遇にも息子が友人の紹介で始めるようになる。忘れかけていた空手への興味が再燃してきたイムランさんは、息子の稽古を見学することに。この時に小井師範の丁寧な指導を見て、「心のこもった教え方をされていて感動しました」と入門を決意した。
入門して2回目の稽古の時には中学生と組手をすることになり、自分の攻撃がまったく当たらないことに衝撃を覚える。それは、空手の奥深さを体感する瞬間だった。
それからイムランさんは、毎週火曜日、レッスンの都合をつけて(強引に?)麻布十番道場へ足を運んでいる。無理をしないで、楽しく学ぶ。英会話を学ぶことと同じように、自らも心地よい距離感で空手と付き合えるようになった。
趣味でフットサルもやっているが、こちらは半年に1回程度の活動なので、空手をすることが一番の楽しみ。稽古で大声を出すことも新鮮で、健康だけではなく仕事にもいい影響があるのは間違いない。
現在は青帯で、今年2月の総本部交流大会に出場して、初めて試合を経験した。残念ながら一回戦負けとなったが、次につながる大変貴重な経験をさせてもらったと語る。
将来についてイムランさんは、「空手は一度、どんな大会でもいいので優勝してみたいです。あとは、東京ドームで英会話のセミナーを開いてみたいですね」と壮大な野望を語った。
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